総監修:
社会医療法人 寿会 富永病院 副院長 (脳神経内科部長・頭痛センター長)/ 富永クリニック 院長
竹島 多賀夫先生

頭痛に関するよくある質問

頭痛についてよく患者さんから質問される内容をFAQ形式でまとめました。もし分からないことがあれば、このページのQ&Aを探してみてください。このページを見ても分からない内容があれば、医師にご相談されることをお勧めします。

疑問

  • A.

    マスクをつけることで頭痛が引き起こされる方がいます。

    マスクによって、

    • 呼吸がしにくく酸欠状態になる
    • 自分の吐いた息を吸い込むことになるため、血液中の二酸化炭素濃度が上昇し、頭部の血管が拡張しやすくなる
    • マスクのゴムにより頭部が持続的に締め付けられたり、引っ張られたりする

    ことで、片頭痛や緊張型頭痛など頭痛が誘発されると考えられます。

    人がまわりにいない場所でマスクを外して深呼吸したり、マスクのゴムの締め付け感が少ないもの・自分に合ったサイズのマスクを使用してはいかがでしょうか。

  • A. テレワークによる仕事環境の変化により、頭痛が軽減した方もいれば、反対に頭痛の回数が増えた方もいます。
    仕事に適した環境が整っていない場合、例えばデスクと椅子の高さがパソコン等仕事をするのに合わない、部屋の照明が明るすぎる・暗すぎるなどにより、首や肩の凝り、眼精疲労から片頭痛や緊張型頭痛を誘発すると考えられます。
    また、長時間パソコンで仕事をすることによるブルーライトの暴露で、概日リズムが崩れることや、テレワークやオンライン授業になった家族と同じ空間で仕事をするストレスなども原因になると考えられます。
    ストレスの感じ方や頭痛への影響には個人差があります。まずはご自身の頭痛が何によって引き起こされるのかを把握し、対処するようにしましょう。

  • A.

    片頭痛は、頭痛発作が起こっていても見かけが変わらないため、「今、頭痛が起こっている」と周りの人に分からず、辛さを理解してもらうことが難しい病気です。
    辛いと感じている具体的な症状を伝えると理解してもらいやすくなることがあります。

    (例)
    • 一歩も動けないくらい頭が痛い
    • 気持ちが悪くて吐き気がひどい
    • 食欲がわかず何も食べられない
    • 光と音が辛いので静かなところで寝ていたい など

    お酒を飲まれる方に対しては、「片頭痛はひどい二日酔いと同じような辛さ、それが突然起こる」と表現することで、その辛さを理解してもらえることがあります。
    また、頭痛を解説したwebページを印刷して見せると伝わりやすいかもしれません。

    性別や年齢と頭痛の関係

  • A.

    片頭痛や緊張型頭痛、またそれら頭痛が慢性化し毎日のように起こる慢性連日性頭痛などが子どもに起こりやすく、それぞれ対応が異なります。
    頭痛に「大笑いや大泣きをしたときに身体から力が抜ける」「朝に嘔吐することがある」などの特徴を伴う場合、他の病気によって起こる頭痛(二次性頭痛)の可能性がありますので、医療機関を受診してください。
    頭痛が辛そうにみえる場合や繰り返し何度も起こる場合は自己判断せず、かかりつけ医に相談してください。

    子どもの頭痛

  • A.

    思春期が始まる前までの子どもが朝に頭痛を訴え、登園・登校を渋る場合は、緊張型頭痛の可能性があります。スキンシップを多くとる、生活環境を調整するなどのケアが有効です。
    この時期の片頭痛は、眠ると翌朝に持ち越さないことが多いので、学校の欠席はあまり多くありません。起立性調節障害(OD)や体位性頻拍症候群(POTS)による頭痛も朝に多くみられます。登園・登校ができない日が続く場合は小児科のかかりつけ医に相談しましょう。

    子どもの頭痛

  • A.

    片頭痛や緊張型頭痛が慢性化し、毎日のように頭痛を訴えることがあります。慢性連日性頭痛とも呼ばれ、重症化すると学校の長期欠席に繋がることがあります。
    慢性連日性頭痛になる年齢やきっかけはさまざまですが、勉強や部活などのプレッシャーが急激に増え、人間関係も複雑になる中学1年生の夏休み明け頃を境に起こりはじめる子どもが多いようです。
    学校の欠席が増え、保護者の方はとても悩まれると思いますが、子どもにとっても辛いことです。過剰に心配せずに、生活環境を整え、子どもとスキンシップの時間を多くとり、学校に行く行かないにかかわらず愛しているということを態度で表現することが大切です。
    学校欠席が続く場合、子どもの社会を閉じないために、保健室登校、市町村の適応指導教室・教育支援センター、習い事などの居場所作りや、子どものためのこころの外来への通院も検討するとよいでしょう。子どもの学校欠席が続くこと自体、大きな問題なので、頭痛にとらわれず生活の改善を目標にすることが大切です。
    もし3日以上続けて学校を欠席した場合は、まずは小児科などのかかりつけ医へ相談しましょう。

    子どもの頭痛

  • A.

    ちょっと難しいお話ですが、脳表面の硬膜で神経からカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という物資が過剰に放出されて、神経と血管に炎症がおこると考えられています。炎症により血管が拡張し、拡張した血管が神経を刺激して脳が敏感になり片頭痛発作がおこると考えられています。これを片頭痛の三叉神経血管性とよびます。このほか、血管説、セロトニン説や、皮質拡延性抑制などが検討、研究され、治療薬の開発も進められています。

    片頭痛を起こすメカニズム

  • A. 片頭痛を起こしやすい体質を完全に変えること現状では実際には難しいです。しかし、生活習慣の改善や誘因、増悪因子を避けることで、また、年齢とともに改善がみられる方も多くおられます。個人差がありますが、各々のライフスタイルに合わせて工夫してみましょう。片頭痛の発作が起こらないよう生活習慣に気を付けたり、リラックスして生活できるよう心がけましょう。

  • A. 確かに頭の片側に痛みが起きることが多いのですが、両側に出る場合もあります。時期によって右側・左側が痛むとか、両側が痛む、両側が痛むけど左側の痛みが強いなど、頭痛が起きるたびに痛む場所が変わる人が多いです。片頭痛は頭の片側に起きる頭痛の症状ではなく、病名です。生活に支障がある頭痛であること、日常的な動作で頭痛が悪化することが特徴です。

  • A. 片頭痛では、頭痛の前触れとして目の前にギザギザが出たり、文字が見えにくくなったりすることもあります。また、気分の変動、集中力低下、体のむくみが前触れになる方もおられます。頭痛発作中は頭痛とともに、吐き気、嘔吐、光や音に敏感になり不快に感じる症状(光過敏、音過敏)がおこります。

  • A. 片頭痛の特徴的な症状として、「ズキン、ズキン」と脈打つような痛みがあり、ひどい時には吐き気や嘔吐をともなうこともあります。音や光に敏感になったりもします。階段の上り下りなどの運動で頭痛が激しくなることもあります。片頭痛の可能性がありますので、頭痛診療を行う医療機関で先生に相談してください。

  • A. 痛みがときどき発作的に起こるのは片頭痛の特徴です。個人差がありますが、同じような強い痛みが毎日続くのではなく数時間から2~3日程度続き、こうした症状が月1~2回から年数回発作的に起こるのであれば片頭痛の可能性があります。
    また、片頭痛は「ズキン、ズキン」とする痛みの後、ジワーと重たくなる頭痛に変わることがあります。このジワーと重たく感じる頭痛は、典型的な緊張型頭痛の特徴です。片頭痛と緊張型頭痛の両方の頭痛を持っている人もおり、以前はこのタイプを「混合型頭痛」といっていましたが、現在では、専門家は「片頭痛」と「緊張型頭痛」の合併と診断しています。
    緊張型頭痛と片頭痛では治療法が異なりますので、医療機関を受診し、医師の適切な判断を受けたうえで、上手に治療を行って下さい。

  • A. 片頭痛の症状には「予兆」や「前兆」が起こることがあります。この症状は片頭痛の前兆と言えるでしょう。前兆は、頭痛の発作の10分から1時間前に視野の中にギザギザした明るい模様が現れたり(閃輝暗点、せんきあんてん)、体の半身がしびれたり(片麻痺)することがあります。
    また、発作の数日前に予兆として、首や肩の張り、あくび、イライラ、空腹感、めまいなどが起こることもあります。しかし、こうした症状が起こらない人も大勢います。

  • A. 片頭痛は、頭の片側または両側が脈打つようにズキンズキンと痛みます。緊張型頭痛は、頭の両側が痛んだり、締め付けられているように頭が重く感じます。群発頭痛は、頭の片側の目の奥が強烈に痛みます。頭の痛む部分はそれぞれの頭痛の特徴の一つですが、発症する頻度や痛みの程度、痛みが持続する期間なども確認し、診断を行います。頭痛のタイプによって、症状が悪化/軽減する方法や服用する薬が異なります。片頭痛と緊張型頭痛の併発や、長期間に渡り薬を服用することで起こる薬物乱用頭痛などありますので、頭痛にお悩みの場合は頭痛診療を行う医療機関を受診することをお勧めします。

  • A.

    頭痛は、専門医といわれる脳神経内科(神経内科)や脳神経外科の医師、または内科の医師に診てもらうことができます。初めて医療機関を受診するときは、片頭痛をはじめとする慢性頭痛以外の危険な頭痛(くも膜下出血、脳腫瘍など)ではないか、どのタイプの頭痛なのか診てもらうことが大切ですね。そうすれば、どんな頭痛と診断されても、医師はあなたに合った治療方法を一緒に考えてくれるでしょう。

    診療科の選び方

  • A. 片頭痛は脳表面の硬膜で血管と神経に炎症がおこるため痛みがおこります。この炎症を悪化させるものが誘発因子、増悪因子となります。ストレスや疲れ、睡眠の過不足、月経の周期、温度差、においなどによって引き起こされると言われています。中でもストレスによるものがいちばん頻度が高いという報告もあります。
    片頭痛では、アルコール、中でも赤ワインが頭痛を引き起こし、悪化させる要因になると言われています。
    緊張型頭痛は頭部、頸部の筋緊張により頭痛を感じる場合と、脳が痛みを感じやすくなっておこる場合があります。長時間の同一姿勢など身体的ストレスや精神的ストレスが誘因と考えられています。

  • A. 緊張型頭痛はうつむき姿勢や肩こりなどが誘因となって、頭痛が起こることがあります。肩や首、背中などのストレッチやマッサージは有効でしょう。片頭痛の方も肩こりや頸部の痛みをよく経験しておられます。片頭痛の場合は肩が凝るから片頭痛がおこるというよりは、片頭痛発作の前触れとして肩こりや頸部の痛みが出現している場合が多いとされています。片頭痛の場合、激しい運動は頭痛の症状を悪化させることがあります。

  • A.

    片頭痛の場合、ストレスや疲れ、睡眠の過不足、月経の周期、天候の変化や温度差、におい、食べ物やアルコールなどにより起こりやすくなります。緊張型頭痛の場合は肩こりやうつむき姿勢など、群発頭痛は、アルコールが誘因になります。何によって頭痛の発作が起こるのか人それぞれ異なりますので、ご自身の頭痛の原因として当てはまるものがあれば、それを見直すことによって改善が期待できます。

    頭痛対策をしよう

  • A.

    頭痛の中には、他の病気が原因で発生している命に関わるような危険な頭痛も存在します。以下のような症状がみられる場合はすぐに医療機関を受診してください。

    • 普段とは違う激しい頭痛が突然起こった
    • 頭痛がここ数ヶ月間で徐々に悪化している
    • 麻痺やひきつけなどの症状があったり、物が二重に見えたりする
    • 意識や言葉に影響が出ている
    • 発熱を伴う頭痛
    • 50歳以上で初めて頭痛になった(または50歳以上で初めて普段とは違う頭痛を感じた)
  • A.

    医師に相談して適切な薬を服用すること、服薬のタイミングなど相談することが大切ですが、薬以外の対処方法でも効果的なものもあります。有効かどうかは個人差がありますので、試してみて自分に合うものを探してみてください。

    • 片頭痛の場合
      • 安静にして休む
      • 頭を冷やす
    • 緊張型頭痛の場合
      • リラックスする(マッサージ、入浴など)
  • A. 日常生活に支障がない程度の頭痛であれば、頭が痛いときに市販薬を服用して対処する方もいらっしゃるでしょう。しかし、長期間にわたり頭痛薬を服用していたり、月10日以上服用している場合は、薬による頭痛(薬物乱用頭痛)の可能性もあります。医療機関を受診することをお勧めします。

  • A. 頭痛は日常生活にも関係します。妊娠すると頭痛の発作が無くなり、出産後にまた起こるようになる人、生理の直前・生理中・生理の後半など生理のさまざまな時期に片頭痛が起こる人もいます。人混みの中から帰ると頭痛がしたり、仕事などの忙しさが無くなると発作が起こるなど、ストレスや緊張感から解放された時に起こる人も多いです。

  • A.

    発作の引き金となる食べ物としては、アルコール・チョコレート・赤ワインなどが挙げられますが、まったく引き金にならない人もいますので、そうした人は気にする必要はありません。むしろ、食べ物に限らずどのような時に片頭痛が起こったのか日ごろからメモを取って、ご自身の痛みの引き金になりそうなものを探すことが大切です。

    頭痛ダイアリー

  • A. 片頭痛を引き起こす誘因の一つとして天候の変化が挙げられます。光や日光が誘因となっている患者さんへは、UVカットのメガネやサングラスなどの着用をお勧めしています。もし、気圧の変化が誘因となっている場合は、他の誘因が重ならないように気を付けましょう。

  • A. たとえば母親に片頭痛があると、娘の70%・息子の約30%に片頭痛が出るとされ、父親に片頭痛がある場合には、その遺伝比率は母親の場合の半分程度といわれています。若い女性に発現が多いのは体内ホルモンの変化によるといわれています。

  • A.

    片頭痛は比較的若い女性に多く、最も多いのは30代の女性です。男女比では、女性は男性の約4倍多いという報告もあります。片頭痛患者は思春期から閉経までの女性に多いため、片頭痛と女性ホルモンには深い関係があると考えられています。

    片頭痛と女性との関係

  • A.

    薬によっては胎児や乳児に影響を与えるものもあります。処方された先生や薬剤師に相談してください。
    また、市販薬を服用されている方は、薬の説明文書を確認してください。

    片頭痛と女性との関係

  • A.

    エストロゲンを含む経口避妊薬は血栓症をおこすことがあります。片頭痛がある方は特に血栓症をおこしやすいので注意が必要です。前兆のある片頭痛の方は禁忌(使用禁止)とされています。また、経口避妊薬により頭痛が起こっている可能性もありますので、処方されている先生に相談されると良いでしょう。もし、頻繁に頭痛が起こるのであれば、頭痛診療を行う医療機関を受診することをお勧めします。

    片頭痛と女性との関係

  • A. マグネシウムやビタミンB2、ハーブのナツシロギク(fever few:フィーバーフュー)は片頭痛にはある程度の予防効果があるとされています。効果の出方は人それぞれで異なりますが、試してみられてもよいでしょう。緊張型頭痛や群発頭痛に対する効果は、医学的なデータが不足しており、あまり期待できないと考えている専門家が多いようです。