スマートフォンやパソコンと頭痛の関係
2022年2月更新
「目が疲れると頭痛がする」、「長時間、デスクワークをしていると肩こりが起こり頭痛がする」など感じたことはありますか?私たちが毎日のように使用しているスマートフォンやパソコンが、あなたの頭痛に影響を及ぼしているのかもしれません。
スマートフォンやパソコンが片頭痛の誘因になる?
片頭痛は、頭の片側または両側が脈打つようにズキンズキンと痛む病気です。月に1~2度や、週に1~2度の頻度で発作的に起こるのが特徴です。(片頭痛については
片頭痛
でご紹介しています)
片頭痛を引き起こす誘因の1つに「光」があります1)。太陽、LEDや白色電球などの室内の照明、夜間の車のヘッドランプ・ブレーキランプなど光によって頭痛発作が起こる、また増悪するなど影響を与えることもあります。私たちの身近にあるスマートフォンやパソコンも液晶から強い光を発しているため、長時間使用することによって片頭痛を起こしている可能性も考えられます。これらの光に含まれるブルーライトが特に頭痛発作に影響を及ぼしているのではないかとの研究報告もされています2)。
片頭痛の誘因には、ストレス、ストレスからの解放、疲れなどもあります3)。ストレスのある状態やその後一段落してホッとしたとき(休日など)にも頭痛が起こります。長時間のデスクワークやパソコンでの作業等によるストレスや疲れで、頭痛が起こっているのかもしれません。
片頭痛の予防の基本は、誘因を避けることです。ご自身の頭痛は何がきっかけで起こりやすいのか把握し、片頭痛を予防しましょう。
スマートフォンやパソコンは緊張型頭痛も引き起こす?
日本でもっとも有病率が高い頭痛である緊張型頭痛は、身体的や精神的なストレスが発生に関連していると考えられています4,5)。無理な姿勢の維持や長時間のスマートフォンやパソコンの使用などによって、頭から肩にかけての筋肉が緊張し血流が悪くなると、乳酸などの疲労物質が筋肉にたまり、これが神経を刺激して痛みを引き起こすと考えられています。片頭痛がストレスから解放されてホッとしたときに起こりやすいのに対して、緊張型頭痛はストレスにより頭や首を囲む筋肉が過剰に緊張して起こる傾向があるようです。多くは肩や首筋のこりや眼精疲労を伴います。ストレス、スマートフォンやパソコンによるうつむき姿勢、運動不足などよって頭痛を引き起こしているのかもしれません。
ずっと同じ姿勢をとらず、こまめに休憩し、ストレッチなどで身体をほぐしましょう。
緊張型頭痛の症状、原因については 緊張型頭痛 でご紹介しています。
- <参考>
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- 1)Kelman, L: Cephalalgia 2007; 27(5): p.394-402.
- 2)辰元宗人: 照明学会誌 2015; 99(1): p.25-27.
- 3)「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会:頭痛の診療ガイドライン2021, p104-106, 医学書院, 2021.
- 4)Sakai F, Igarashi H : Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia 1997;17:15-22.
- 5)「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会:頭痛の診療ガイドライン2021, p274-276, 医学書院, 2021.