薬以外の対処方法
2024年9月更新
片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などの一次性頭痛の治療には、行動療法、理学療法、ニューロモデュレーションなどお薬を使用しない対処方法「非薬物療法」があります1)。
非薬物療法には、生活習慣の改善や環境・行動の工夫といった「セルフケア」も含まれます。ここで紹介しているようなセルフケアが予防や対処に効果的な場合もあります。
「頭痛に有効な対策は人によって違う」ということを念頭に、あなたにあった対処方法を探してみてください。
片頭痛が起こっているときのセルフケア
安静にする
運動や動作など片頭痛悪化の要因を避けて、部屋を暗くして横になり、安静に過ごします。状況が許せば、そのまま眠ってしまうのも良いでしょう。
頭を冷やす
頭を冷やすことによって痛みが軽くなる場合もあります。頭を冷やすには、保冷剤や氷まくらなどをタオルで包んで、頭の下に敷くようにしましょう。また、何か冷たいものや冷却シートなどをおでこにあてる方法もあります。
カフェインをとる
コーヒーなどに含まれるカフェインの作用で、痛みが和らぐことがあります。しかし、とりすぎると頭痛の原因となることがありますので注意が必要です。
片頭痛発作を起こさないためのセルフケア
生活習慣の改善
片頭痛は空腹や脱水がきっかけとなって起こることがあります。食事を抜くなどの不規則な食生活は避け、こまめに水分補給をしましょう。寝不足・寝すぎも片頭痛の誘因となりますので、夜更かしや休日の寝だめなどに注意してください。
生活環境の工夫
明るすぎる照明などのまぶしい光やスマホなどのブルーライト、大きな音、不愉快な音、香水や柔軟剤などの強いにおいによって、頭痛が引き起こされることがあります。ご自身の頭痛は何がきっかけで起こったのかを知ると生活において避けることができます。
光(照明)と頭痛~住環境の工夫による片頭痛予防~
頭痛体操
頭や首を支えている筋肉の緊張やこりをストレッチすることで、片頭痛の早期発見・予防、緊張型頭痛の緩和に繋がります。
正面を向き、足を肩幅に開きます。頭は動かさず、両肩を大きくまわすコマ体操
「頭痛体操」ページで詳しくご紹介しています。
病院を受診して行う非薬物療法
ニューロモデュレーション
最近では、ニューロモデュレーション(機器を用いて特定の神経に電気や磁気によって刺激を与えることで、神経の活動を変化させる)による片頭痛の治療が研究されています。
行動療法
認知行動療法やバイオフィードバック療法のような片頭痛の予防が期待される行動療法があります1)。
認知行動療法とは、患者さんの感情や行動に影響を及ぼしている極端なとらえ方(不適切な認知)に介入し、患者さんがより現実的で幅広いとらえ方(認知)を自分自身で選択できるようになることで、必要以上に落ち込んだり、不安になったりするといった不快な感情を軽くして、本来持っている力を発揮できるようになることを目指します2)。
こころと頭痛
バイオフィードバック療法とは、普段意識していない体温や筋緊張などの情報を特別な装置を使用することによって意識にフィードバックし、身体の状態を意識的に調節し、緊張を和らげる方法などを習得します3)。
これらのほかに理学療法やサプリメント・食品などによる対処方法もあります。片頭痛にはさまざまな治療法・対処法がありますので、頭痛の頻度や程度、頭痛で困っていることや、普段のライフスタイルなどを医師に相談し、自分に合った治療法・対処法を見つけましょう。
- <参考>
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- 1) 「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会:頭痛の診療ガイドライン2021, 医学書院, 2021,p.45-50.
- 2)厚生労働省, e-ヘルスネット〈認知行動療法〉(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-044.html)(2024年8月21日閲覧)
- 3)柴田護・清水利彦:片頭痛の診かた 一歩進んだ片頭痛診療をめざして, 日本医事新報社, 2023, p.146-153.