総監修:
社会医療法人 寿会 富永病院 副院長 (脳神経内科部長・頭痛センター長)/ 富永クリニック 院長
竹島 多賀夫先生

頭痛とは

2020年10月作成

さまざまなタイプの頭痛

頭痛にはさまざまなタイプ・原因があり、「国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)」では実に300種類を超える頭痛があると分類されています。頭痛のタイプは一次性頭痛と二次性頭痛の大きく2つに分類されます。一次性頭痛とは、他にはっきりとした原因や疾患が見当たらない、「頭痛そのものが病気」の頭痛です。一方、二次性頭痛とは、他の疾患が原因となり起こる頭痛です。

  • 一次性頭痛 頭痛そのものが病気である頭痛。「頭痛持ちの頭痛」と呼ばれる。
    片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛のように繰り返し起こる慢性頭痛。
  • 二次性頭痛 脳や他の疾患が原因となって起こる頭痛。
    くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎など命に関わる頭痛も含まれる。

繰り返し起こる一次性頭痛

一次性頭痛の代表的なものには 片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 があり、これらは「3大慢性頭痛」と呼ばれています。繰り返し起こる頭痛で、日本国民の3人に1人が悩んでいると言われています。この中で、いちばん有病率が高いのが緊張型頭痛です。1)
片頭痛は、頭の片側または両側が脈打つようにズキンズキンと痛みます。月に1~2度や、週に1~2度の頻度で発作的に起こります。家事や仕事が手につかず、吐き気や嘔吐で寝込んでしまったりなど、日常生活に支障をきたすことがあります。緊張型頭痛は、がまんできないほどではない鈍い痛みが数時間~数日繰り返したり、毎日のように続いたりします。片頭痛と緊張型頭痛が併発することもあります。
また一次性頭痛ではありませんが、頭痛薬の飲みすぎで頭痛を引き起こす 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛) も問題視されています。片頭痛や緊張型頭痛と診断されたことのある方、以前より頭痛がよく起こる方などに起こりやすいです。

一次性頭痛の中でも特に片頭痛は、日常生活への影響が大きいことが知られています。どれくらいの方が片頭痛に悩んでいるのか、以下に例をあげてご紹介します。

片頭痛の有病率

日本では、どれくらいの方が片頭痛に悩まされているのでしょうか?日本全国調査によると、日本人全体での片頭痛の有病率は8.4%と、多くの人が片頭痛に悩まされています。全年齢層で男性は3.6%、女性は男性の3倍以上の12.9%で、女性に多くみられる疾患です。1)

図1 片頭痛の有病率(文献1より作図)
日本人全体の割合

特に20〜40代の女性に多く、30代女性では17.6%、40代女性では18.4%と高い有病率が報告されています。一方、50代女性では11.4%、60代女性では5.3%と加齢に伴い有病率は低くなります。3) また、全国調査では、近畿や北陸では有病率が低い結果が得られました。片頭痛は決して「都会に多い病気」というわけではなく、どの地域でも起こる病気だと考えられています。1)

世界各国における有病率はさまざまで、中国3.0%、マレーシア9.0%、台湾9.1%、フランス12.1%、米国13.0%、スウェーデン13.2%、ドイツ27.5%、タイ29.1%などの報告があります。3)

図2 世界の片頭痛の有病率(文献3より作図)
タイ 29.1%
ドイツ 27.5%
スウェーデン 13.2%
米国 13.0%
フランス 12.1%
台湾 9.1%
マレーシア 9.0%
中国 3.0%

片頭痛が日常生活に与える影響

片頭痛は、「偏頭痛」と書かれているのを見かけますが、医学的に正式な診断名は「片頭痛」です。その名前が示すように、頭の片側が痛むことが多いのですが、頭の両側が痛む(両側性)例が約4割に認められます。2) また、片頭痛の発作ではズキンズキンと脈打つような痛みを感じる方が多くいる一方、ズキンズキンしない(非拍動性)場合も約5割に認められています。2) 頭痛の発作時は、吐き気や嘔吐を伴うことが多く、光や音、においに過敏になるといった症状がみられることがあります。
片頭痛が日常生活におよぼす影響として、「いつも寝込む」が約4%、「ときどき寝込む」が約30%、「寝込まないが日常生活に支障あり」が約40%と、合計約74%の人が日常生活に支障をきたしています。1)

図3 片頭痛が日常生活におよぼす影響(文献1より作図)
片頭痛が日常生活におよぼす影響の円グラフ

このように片頭痛は日常生活に支障をもたらすにもかかわらず、68%の人が「片頭痛のために仕事を休んだり、約束をキャンセルすることはない」と答えています。1)

また頭痛による医療機関への受診率については、定期的に受診している人が2.7%、時々受診していると答えた人が12.2%、過去に受診したことがあると答えた人が15.6%という結果で、ここからおよそ7割の人は片頭痛に苦しんでいるにもかかわらず、医療機関を受診していないということが分かりました。1)

図4 医療機関への受診率(文献1より作図)
医療機関への受診率の円グラフ

頭痛薬についても、片頭痛患者の56.8%が市販薬のみを服用しており、医師から処方された薬のみを服用している方はわずか5.4%で、多くの方が受診せずに市販薬で対処しているとみられる結果でした。1)

図5 頭痛薬の服用状況(文献1より作図)
頭痛薬の服用状況の円グラフ

片頭痛を引き起こす誘因

片頭痛は頭部の血管と神経が炎症を起こし、血管が拡張して神経を刺激して痛みが発生します。この炎症には誘因があり、特定の状況下において片頭痛の発作が起こりやすいことが知られています。どんな時に片頭痛が起こりますか?という質問に対しては「睡眠不足」が71.1%と最も多く、続いて「肩、首の凝り」67.1%、「旅行・買い物」65.3%、「過労」52.9%、「目の疲れ」44.4%、「緊張」43.6%、「睡眠過多」27.6%などがあげられました。1)

図6 どんな時に片頭痛が起こりますか?(文献1より作図)
どんな時に片頭痛が起こるかの棒グラフ

また、別の調査では、片頭痛患者の62%の人はストレスがあるときに頭痛が起こると感じている一方、24%の人はストレスから解放されたときに頭痛が起こると感じています。4)
睡眠不足だけではなく睡眠過多の状態、ストレスや緊張の状態から解放されたときにも片頭痛の発作が起こることから、週末になると頭痛が起こるという症状を訴える患者さんも多くいらっしゃいます。片頭痛の原因や症状については、 片頭痛 で詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。

片頭痛の見分け方と対処方法

頭痛には多くのタイプがありますので、その頭痛が片頭痛のような慢性頭痛なのか、他の病気が引き起こしている頭痛なのかは、問診・診察・検査をして診断されます。頭痛に悩んでいる方は、かかりつけ医や頭痛の専門医にご相談してください。

頭痛オンラインでは、片頭痛や緊張型頭痛の可能性をチェックすることができる 頭痛チェックシート もご用意しています。チェック結果を印刷・ブックマークすることができますので、あらかじめチェックし、受診の際に持って行くと自身の症状を伝えるのに便利です。また 頭痛ダイアリー を活用することによって、どんな時に頭痛が起きるのか、頭痛が起こったときにどのような症状があったのかなどを知ることができます。それによって、「寝すぎると頭痛になることがあるので、休日も平日と同じ時間に起きるようにする」、「目が疲れると頭痛になることがあるので、夜はなるべくパソコンやスマートフォンを見ないようにする」など、自分に合った対処ができるようになります。

<参考>
  1. 1)Sakai F, Igarashi H : Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia 1997;17:15-22.
  2. 2)「慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版」作成小委員会 : 慢性頭痛の診療ガイドライン市民版. 医学書院
  3. 3)Takeshima T, Ishizaki K, Fukuhara Y, Ijiri T, Kusumi M, Wakutani Y, Mori M, Kawashima M, Kowa H, Adachi Y, Urakami K, Nakashima K : Population-based Door-To-Door Survey of Migraine in Japan: The Daisen Study. Headache 2004 ; Jan;44(1):8-19
  4. 4)Robbins L : Precipitating Factors in Migraine: A Retrospective Review of 494 Patients. Headache 1994 ; 34(4) :214-216.