総監修:
社会医療法人 寿会 富永病院 副院長 (脳神経内科部長・頭痛センター長)/ 富永クリニック 院長
竹島 多賀夫先生

あたま・かお・くびの神経痛

2022年6月作成

神経痛とは、末梢神経が圧迫されるなど何らかの原因によって刺激を受け、その神経が支配する領域に生じる痛み(症状)の総称をいいます。
頭や顔、首に起こる神経痛もあり、後頭神経痛(こうとうしんけいつう)、三叉神経痛(さんさしんけいつう)、舌咽神経痛(ぜついんしんけいつう)が代表的なもので、国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類 第3版」1)にも掲載されている「頭痛」の一種です。

神経痛

神経とは

身体には、脳と脊髄からなる「中枢神経」と全身にいきわたる「末梢神経」があり、体内の情報伝達を行っています。末梢神経には手足の動作など筋肉を動かす「運動神経」、痛い・熱い/冷たい・何かが触れたなどを伝える「感覚神経(知覚神経ともいいます)」、血圧・体温の調節や臓器の働きを調整する「自律神経」があります。

あたま・かお・くびに起こる神経痛について

頭や顔、首にも運動や感覚、自律神経機能をつかさどる末梢神経があります。痛みが生じる神経によって神経痛の名称が異なるのですが、症状も異なります。

後頭神経痛こうとうしんけいつう

後頭神経痛は、後頭部や側頭部の感覚をつかさどる神経に生じる痛みで、首の付け根から後頭部にかけての頭皮や耳の後ろあたりに、突然ズキンとするような、刺すような、またはキリキリするような痛みを感じます。痛みは数秒~数分間と短く、繰り返しますが、1週間程度で自然に治ることが多いです。痛みが生じる期間では、髪の毛をブラシでとく、頭皮に触れる、後ろを振り向くなどの動作でも痛みが誘発されることがあります。
後頭神経痛では、首や後頭部の筋肉によって神経が圧迫されることが原因となる場合が多いとされています。この他、時に帯状疱疹などが原因のこともあります。テレワークでデスクと椅子の高さが仕事をするのに合わないといった仕事に適した環境が整っていない場合などは特に長時間デスクに向かい同じ姿勢をとり続けていないか、パソコンで作業するときに猫背になるなど姿勢が悪くなっていないか注意しましょう。

首や頸部、後頭部から肩の筋肉が緊張し、血流の悪化から 緊張型頭痛 が起こることもあります。緊張型頭痛は数時間~数日間にわたり頭が重く、締め付けられるような頭痛であり、後頭神経痛とは痛みが異なりますが、緊張型頭痛と後頭神経痛の両方が生じることも少なくありません。

三叉神経痛さんさしんけいつう

三叉神経は顔や頭の感覚をつかさどる神経であり、鼻や口の中を含む顔の感覚を脳に伝えます。三叉神経痛では、三叉神経が分布する領域に沿ってビリビリと激しい痛みが出現します。同じ三叉神経が関わる頭痛として、 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs) があります。
三叉神経痛は、三叉神経の近くの脳血管が神経に触れて圧迫することで生じるとされていますが、腫瘍や多発性硬化症などの他の疾患によっても起こることがあります。10万人あたり4~5人がかかる比較的稀な疾患ですが、50歳以降に発症し、男性よりも女性に多い疾患とされています2)
三叉神経痛の痛みは顔の表面を刺すような短い痛み、あるいはビリッと電気が走るような痛みと表現され、洗顔やひげ剃り、歯みがき、咀嚼・会話などで誘発されることがあります。発作の回数は非常に多く、1日に100~200回起こることもあり、1回あたりの持続時間は長くても2分程度と短いものです3,4)

また、三叉神経痛は、痛みが生じている部位の感覚が鈍くなる・痛覚が過敏になるといった感覚の変化、 アロディニア などを伴うことがあります。アロディニアは、 片頭痛 の患者さんでもよくみられる症状です。

舌咽神経痛ぜついんしんけいつう

舌咽神経は、喉の動きや喉の奥・耳の一部の感覚、味覚の一部などをつかさどる神経です。舌咽神経痛は三叉神経痛よりも稀な疾患(0.2~0.7人/10万人)であり、男性より女性に多く、50歳前後によく起こるとされています5)
舌咽神経痛の原因も三叉神経痛と同様に血管による神経の圧迫であることが多く、舌の奥の方が刺激されると痛みが生じるため、食べものや飲みものを飲み込む動作や会話、咳などにより誘発されます。喉から耳のあたりにかけて、急に針で刺されたような激しい痛みを感じます。

神経痛を診てもらえる診療科

後頭神経痛、三叉神経痛、舌咽神経痛についてご紹介しましたが、同じ部位に痛みが生じる一次性頭痛もあります。たとえば、片頭痛でも目の奥に痛みを感じたり、顔や舌にチクチクした痛みが波及することがあり、区別することが難しい場合があります。
また、三叉神経痛では歯みがきや咀嚼・会話などの口の動きで歯や歯肉(歯ぐき)に強い痛みが生じるので、歯が原因だと思い歯科を受診される方もいらっしゃいます。歯科治療後にも顔や頭の痛みが続く場合、気になる痛みがある場合は、脳神経内科・脳神経外科・頭痛外来・ペインクリニックなど頭痛を専門とする診療科を受診するようにしましょう。

<参考>
  1. 1)日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会:国際頭痛分類 第3版,医学書院,2018.
  2. 2)Maarbjerg S, et al : Trigeminal Neuralgia:A Prospective Systematic Study of Clinical Characteristics in 158 Patients, Headache 2014; 54:1574-1582.
  3. 3)Benoliel R : Trigeminal autonomic cephalgias. Br J Pain 2012; 6(3):106–123.
  4. 4)日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会:国際頭痛分類 第3版,医学書院,2018,p.167-171.
  5. 5)森岡基浩:舌咽神経痛の診断と治療. 口咽科 2013; 26: p.39-45.