片頭痛
2022年2月更新
片頭痛とは
片頭痛は、頭の片側または両側のこめかみ付近がズキンズキンと脈打つような痛みが繰り返し起こり、吐き気を伴うこともあります。月に1~2回や、週に1~2回の頻度で起こり、いったん痛み出すと寝込んでしまう、仕事が手につかないなど、多くの方が日常生活に支障をきたします。
光や音、においなどさまざまな刺激によって、顔面や頭部の感覚をつかさどる三叉神経の末端から血管に作用するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やサブスタンスPなどの神経伝達物質が分泌されます。
それらの働きで、脳の表面(硬膜)の神経と血管の周囲に炎症がおこり、血管が拡張して痛みが起こると考えられています。
片頭痛のメカニズムはまだ確定しておらず、神経説や血管説、三叉神経血管説などの検討、研究が今もされています。
片頭痛の症状
片頭痛は、頭の片側または両側がズキンズキンと脈打つような強い発作を繰り返します。普段どおりに家事や仕事ができなかったり、寝込んでしまう、じっとしていたいと感じるほどで、歩いたり階段を上がるなど身体を動かすことで悪化します。吐き気や嘔吐を伴うことが多く、普段はなんでもないような光や音に対して過敏になるといった随伴症状がみられることもあります。
しかし、痛みがおさまると健康な人と全く同じように生活や行動ができますし、片頭痛自体が命にかかわることはありません。
ストレスのある状態が続いたあと、一段落してホッとしたとき(休日など)にも頭痛が起こります。頭痛は数時間程度のこともあれば、3日間くらい続くこともあります1)。
片頭痛の前兆
片頭痛は、痛みの起こる直前に「前兆」を伴うかどうかで「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」に分類されます。
前兆の代表的なものは「閃輝暗点(せんきあんてん)」とよばれる症状で、
- 目の前で光がチカチカ・キラキラする
- 視野の一部に歯車のようなギザギザしたものがあらわれる
- 視野の一部が欠ける
などがあります。
通常5~60分程度続き、その後60分以内に頭痛発作が起こります2)。
閃輝暗点以外の前兆としては、手足がしびれる、しゃべりにくくなる、めまいがするといった症状などもみられます。もっとも「前兆のない片頭痛」のほうが多く、同じ人でも前兆がいつもあらわれるわけではありません。
片頭痛の予兆
片頭痛発作は、予兆期・前兆期・頭痛期・回復期と時間とともに経過します。前兆のない片頭痛でも、「なんとなく頭痛がきそうだ」という漠然とした予感を感じることがあります。
具体的には、
- だるい、倦怠感
- 気分がよくない
- イライラする
- 集中できない
- 食欲が通常以上に出る
- 体がむくむ
- 首や肩がこる
- 眠気を感じる、あくび
といった状態になり、その数時間後に頭痛が起こります。
こうした症状については「予兆」とよんで、前兆とは区別しています。
慢性片頭痛
もともと片頭痛のある人が月の半分以上に頭痛が増え、それが3ヶ月以上続く場合、緊張型頭痛など他の頭痛が混在した「慢性片頭痛」になることがあります。これまで月に数回だった片頭痛の激しい頭痛の間に、すっきりしない頭が重いような頭痛・締め付けられるような頭痛が起こり、毎日何かしらの頭痛が起こっている状態になることがあります。この頭痛を「慢性連日性頭痛」と呼ばれることもあります。
ただし、頭痛のたびに頭痛薬を服用している場合、そして頭痛薬を飲んでいるのに効かない場合は、
「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」
の可能性も考えられます。自己判断で対処せずに、受診して医師に相談しましょう。
片頭痛発作中に顔や頭皮、手足がビリビリして、何かが触れるだけで痛く感じたり、不快に感じたりするような
片頭痛に関連する症状「アロディニア」
があらわれることがあります。
- <参考>
-
- 1)日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会:国際頭痛分類 第3版, 医学書院, 2018.
- 2)「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会:頭痛の診療ガイドライン2021, 医学書院, 2021.
片頭痛との見極めが難しい頭痛の症状が現れる疾患もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
片頭痛発作中に服が肌に触れたり、くしで髪をとかしたときなどにビリビリと感じる「アロディニア」という症状があらわれることがあります。