季節と頭痛の関係
2026年3月作成
春の激しい寒暖差、真夏の強い日差し、秋の台風による気圧変化、そして冬の室内外の温度差。私たちを取り巻く環境の変化は、頭痛を引き起こすきっかけ(誘因)となることがあります。「たかが頭痛」と思わず、自分の頭痛を知り、適切に対処しましょう。
なぜ季節の変わり目に頭痛が起きるの?
頭痛には、繰り返し起こる「一次性頭痛」と、病気などが原因で起こる「二次性頭痛」があります。日本人の3人に1人が悩んでいるといわれる一次性頭痛は1)、季節や天候の変化に敏感に反応することがあります。
一次性頭痛に明確な流行時期はありませんが、人によってはなんとなく頭痛が増えると感じる季節があるようです。特に片頭痛や緊張型頭痛は、気圧の変化、光、温度差などが誘因となって引き起こされると考えられています。
あわせて読みたい関連記事
頭痛を引き起こす主な要因と注意点
【春】寒暖差・環境変化によるストレス・花粉症
春は朝晩の気温差が大きく、耳の奥にあるセンサー(内耳)が気圧の変化を感知して、自律神経に働きかけます。自律神経の乱れから、血管の収縮・拡張のバランスが崩れ、片頭痛が引き起こされやすい状態になるとされています。
新学期や異動など新しい環境によるストレスにも注意が必要です。片頭痛は「ストレスや緊張から解放されたとき」に、緊張型頭痛は「ストレスや緊張がある状態のとき」に起こりやすい傾向があります。新学期・異動等による新しい環境に移るときは、自覚がなくても多少なりともストレスを受ける可能性があるので、他の誘因が重ならないように気を付けましょう。
また、春は歓送迎会が増える時期でもあります。20~40代の男性に多い「群発頭痛」は、発作が起こる期間中(群発期)に飲酒すると高い確率で激しい痛みが起こります2)。お酒の席が増える時期は特に注意が必要です。
花粉症やアレルギーに伴う症状として頭痛を感じる人もいます。
あわせて読みたい関連記事
【夏】強い日差し・冷房による冷え・熱中症のリスク
真夏の炎天下では、強い日差しが片頭痛の誘因になることがあります。片頭痛患者さんの半数以上の方に、明るい光を不快に感じる「光過敏」の症状があるといわれています3)。また、片頭痛患者さん1,207人を対象とした海外の調査では、38.1%の方が光により頭痛が引き起こされたとの報告もあります4)。日差しが強い日はサングラスや帽子を活用し、刺激を避ける工夫をしましょう。
熱中症の症状の一つとして起こる頭痛にも注意が必要です。
【秋】台風による急激な気圧変化と「天気痛」
夏から秋にかけては台風が多く、急激な気圧変化により片頭痛が引き起こされやすい状態になります。天気(気象)の変化に伴う痛みは「天気痛」や「気象痛」と呼ぶこともありますが、これらは医学的な正式病名ではありません。気象の変化を避けることは困難ですが、頭痛は複数の誘因が重なって起きるため、気象以外の誘因を避けるように心がけることが大切です。
あわせて読みたい関連記事
【冬】屋外との温度差・血行不良
寒い屋外から暖かい室内へ移動した際の急激な温度差により、自律神経が乱れ、片頭痛が引き起こされやすい状態になるとされています。暖かい室内に入ったときの急激な血管の拡張は、片頭痛を引き起こす一因になると考えられています。一方で、寒さによる肩のすくみや筋肉の硬直は、緊張型頭痛の要因となります。
「たかが頭痛」と思わないで
「いつもの頭痛」と違う危険なサイン
二次性頭痛の中には、くも膜下出血や脳出血など命に関わるものが含まれます。以下のような場合は、できるだけ速やかに医療機関を受診してください。
- 突然起こった激しい頭痛
- これまでに経験したことがない激痛
- 症状がどんどん悪化している、または頻度が増えている
- いつもと違う痛み
受診の際は、かかりつけ医へ相談するか、頭痛に詳しい医師や「頭痛専門医」の受診を検討してください。
- <参考>
-
- 1)Sakai F, Igarashi H : Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia 1997; 17:15-22.
- 2)「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会:頭痛の診療ガイドライン2021, 医学書院, 2021,p.293-295.
- 3)Kelman L, Tanis D : The relationship between migraine pain and other associated symptoms.Cephalalgia 2006; 26:548-553.
- 4)Kelman L : The triggers or precipitants of the acute migraine attack. Cephalalgia 2007; 27:394-402.
