総監修:
社会医療法人 寿会 富永病院 副院長 (脳神経内科部長・頭痛センター長)/ 富永クリニック 院長
竹島 多賀夫先生

季節と頭痛の関係

2020年6月作成

春のように朝晩の気温差が大きくなる季節や台風の多い季節になったり、真夏のような炎天下にいたりすると頭が痛くなることがあります。これらの頭痛は何が原因で起こっている頭痛なのでしょうか?ひとくちに頭痛といってもさまざまな種類があります。たかが頭痛と思わず、ご自身の頭痛のことをよく知り、適切に対処することが大切です。

頭痛にはさまざまな種類があります

これまでに頭痛を経験したことがある人は多いのではないでしょうか。風邪や二日酔いなど身近な要因で頭痛が起こることもあります。頭痛には、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛のように繰り返し起こる慢性頭痛(一次性頭痛)と、脳や他の病気が原因となって起こる頭痛(二次性頭痛)があります。二次性頭痛の中には、くも膜下出血や脳出血など命に関わる頭痛も含まれます。

一次性頭痛は、いわゆる「頭痛持ちの頭痛」と呼ばれ、日本国民の3人に1人が悩んでいるといわれています。1)

頭痛の種類について、詳しく知りたい方はこちら

台風や天気が急変する季節は片頭痛に注意しましょう

一次性頭痛には、季節による流行はありませんが、人によってはなんとなく頭痛が多いと感じる季節があったりします。それには頭痛を引き起こす誘因が関わっていると考えられます。

朝晩の気温差が大きい春先や、台風が多い夏から秋にかけては、天気の急な変動による気圧の変化などにより片頭痛が引き起こされやすい状態になるとされています。

片頭痛はストレスや緊張から解放されたときに、緊張型頭痛はストレスや緊張がある状態のときに起こりやすい傾向があります。新学期・異動等による新しい環境に移るときは、自覚がなくても多少なりともストレスを受ける可能性があるので、他の誘因が重ならないように気を付けましょう。

群発頭痛は20~40代の男性に多い頭痛ですが、最近は女性にも増えてきたとされています。頭痛発作が起こっている期間(群発期)にアルコールを飲むと必ずといっていいほど激しい頭痛発作が起こります。2) アルコールが誘因となりますので、歓送迎会が増える春などお酒を飲む機会が多い季節はアルコール摂取を避けるよう注意しましょう。

春には花粉症やアレルギーに付随する症状として頭痛を感じる人もいるでしょう。夏には熱中症により起こる頭痛もあります。頭痛を引き起こす誘因や悪化させる要因はご紹介したもの以外にもあり、同じ頭痛(一次性頭痛)でも誘因や要因は人それぞれ異なります。自分の頭痛を知り、誘因を避けるなど適切に対処しましょう。

普段とは異なる気になる頭痛、日常生活に支障をきたす頭痛がある方は、かかりつけの先生や頭痛の専門医に相談してみてください。

季節ごとの頭痛の誘因の例
季節ごとの頭痛の誘因

頭痛の種類について

■ 一次性頭痛(繰り返し起こる)

■ 二次性頭痛(脳や他の病気が原因となって起こる)

<参考>
  1. 1)Sakai F, Igarashi H : Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia 1997;17:15-22.
  2. 2)慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会 : 慢性頭痛の診療ガイドライン2013, 医学書院, 2013.